古来より聖なる石とされてきたラピスラズリ。その神秘的な青には特別なエネルギーが秘められているとされます。それは、「美しい未来へ繋ぐ力」なのです。
アフガニスタン・バーミヤンの石窟にはラピスラズリを砕いた青の絵の具で彩色した天井壁画があり、そこには仏教の世界観における「未来」を象徴する仏様―弥勒菩薩が描かれています。それが《青の弥勒》です。
弥勒菩薩は釈迦の入滅後56億7千万年後に降りてきて、釈迦に代わってこの世の人々を救う未来仏とされ、《青の弥勒》はさらにその美しさから「麗しの菩薩」とも呼ばれており、昔から多くの人々の信仰を集めていましたが、相次ぐ戦乱の中で失われてしまいました。
東京藝術大学COI拠点は、《青の弥勒》を取り戻すべく、スーパークローン文化財の技術を以て原寸大で復元しました。破壊前当時の姿だけでなく、より鮮明に図像が残されていた頃の様子を再現したことで、《青の弥勒》は、古より蘇ってきました。
本展覧会では平山作品と平山コレクションとともに、《青の弥勒》を中心に仏教伝来の道を紹介します。