齋 正機(さい・まさき)(1966-、福島県出身)は、1992年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、1994年に同大学大学院を修了しました。会派には属せず、個展やグループ展を中心に活躍する気鋭の日本画家です。1998年に「第4回ふるさとの風景展」(喜多方市美術館)で最優秀賞を受賞し、その後も数々の展覧会で受賞を重ねました。活躍は絵画にとどまらず、雑誌や新聞でエッセイを執筆するなど幅広く活動しています。
齋の作品は、何気ない日常や日本の風景が優しく柔らかく描かれ、心に染み渡るような懐かしさを感じさせてくれます。絵の前に立つと誰しも心に持つ故郷や子供時代を思い起こし、その世界観に惹きつけられるでしょう。本展では、初期作品を始め、主に故郷福島を取材した「風景画シリーズ」、子供の頃から親しんだ鉄道を主題とした「鉄道シリーズ」、あたたかい眼差しで子どものしぐさを絶妙に切り取る「子どもシリーズ」から厳選した作品群に加え、福島第一原子力発電所の事故によって帰還困難区域に指定された場所にある桜の名所「夜の森の桜」を取材した大作も併せて展覧し、齋正機の世界を紹介いたします。