林家は清朝の乾隆43年(1778)に、福建から台湾に移り、19世紀の中葉には全盛期を築いた、台湾屈指の名家の一つです。台北市の郊外に残る林家の庭園は、清朝末期における福建地方の造園の粋を尽くした建造物として、現在も一般に公開されています。
林本源家の伝統を受け継ぐ林宗毅氏は、学問芸術に造詣が深く、実業家としてご活躍されるかたわら、明清時代から現代を中心とする中国書画を熱心に収集されてきました。そのご愛蔵の書画は、祖居の楼閣の名を冠し「定静堂コレクション」として知られ、東京国立博物館をはじめ、和泉市久保惣記念美術館や台北故宮博物院に寄贈されています。今春、それらの愛蔵品をまとめた『定静堂中国書画名品選』が上梓されることとなり、これを記念して、定静堂コレクションの中国書画を特集陳列いたします。どうぞご高覧ください。