愛媛県美術館では、美術鑑賞を視覚だけに限らず触覚や聴覚、対話などで作品にアプローチすることを試みています。意識していなかった感覚の領域にふれ、鑑賞者のひとりひとりが「みること」を再考する展覧会やプログラムを開催し、美術の楽しみ方、日々のくらしがより豊かになることを願っています。本展では、普段気に留めることもなく過ごしている視覚世界に改めて向き合い、あらゆる感覚を用いて「みること」を思考していただければと考えています。そこで、視覚以外の感覚で捉えた世界をさわる形や記憶の色で表現する光島貴之と、身近な素材を用い、視覚や聴覚などの知覚を問い直す八木良太の作品を中心に、当館の所蔵品を交えて構成し、感覚を揺さぶる作品を紹介します。作品を通して、視覚以外の感覚を用いて目には見えないものに想像を巡らせたり、視覚の特性による意外な見え方を発見したり、これまでにない感覚に出会うことができるのではないでしょうか。