“しごとば”には、鈴木のりたけが発見した、「面白い」があふれています。「仕事の現場を絵本にする」という発想で、2009年に誕生した「しごとば」シリーズは、2020年刊行の『やっぱり・しごとば』を含めて計6冊。「カラッとした絵で、情報をきちんと伝えたい」と作家自身が綿密な取材を重ね、それぞれの仕事の醍醐味を一枚の絵に落とし込む独自の手法で子どもたちの心をつかんでいます。
本展では、新幹線運転士、宇宙飛行士、消防隊員、女優、米農家、客室乗務員、特殊メイクアップアーティスト、プロサッカー選手、恐竜学者、オーケストラ団員、医者など、計20職種の“しごとば”の原画を展示。絵のなかに入り込むように、じっくりと視線を巡らせてみれば、「働くって楽しい」という思いが、どの“しごとば”からもしっかりと伝わって来ます。現実の社会にもワクワクする気持ちがあふれていることを子どもたちに知ってほしいと、あえてリアルを追求して描かれていますが、「しごとば」シリーズは“職業紹介図鑑”ではありません。作家が取材で感じた「面白い」が知的好奇心をくすぐる、最先端の“進化する絵本”なのです。
ダジャレ好きな作家は、思わず声を上げて笑い出したくなるような「面白い」を発見して、絵本の形に落とし込むのも得意。デビュー作『ケチャップマン』 から14年、常に革新的な手法で子どもたちの想像力を刺激し続けています。本展では、「しごとば」シリーズ以外に、数々の代表作の絵本原画・約70点を展示。会場では、鮮やかな色彩や、遊び心あふれる緻密な表現にどっぷりとはまって、鈴木のりたけの“進化する絵本の世界”を存分に楽しんで頂ければ幸いです。