このたび、奈良県立万葉文化館では、当館が所蔵する「万葉日本画」の制作者のひとりでもある平山郁夫(1930ー2009)を取り上げた展覧会を開催します。
平山郁夫は、広島県瀬戸田町(現・尾道市)に生まれました。15歳のときに広島市内で被爆し、九死に一生を得ました。一命を取り留めた後は、大叔父の清水南山のもとから県立忠海中学校に通いました。平山はこの大叔父のすすめで日本画の道へと進みました。
生涯をかけて、己が育った広島の風景、平和への祈り、シルクロード、そしてその終着地点である日本の古都を絵のテーマとして追求しました。
本展では、平山郁夫とその芸術の原点である故郷の瀬戸内や、半世紀に及ぶ画業において転機となった仏教美術と出会った奈良・京都の地を、平山郁夫の作品と詞とともに振り返ります。
また、平山郁夫芸術の集大成ともいえる記念碑的大事業であった奈良・薬師寺玄奘三蔵院の大唐西域壁画の大下図を展示することで、過酷なシルクロードの旅を芸術へと昇華した平山郁夫の芸術の真髄を体感できる展覧会となっています。