齋藤隆三(りゅうぞう)(1875-1961)は茨城県出身の歴史家で、郷土・守谷では“博士”の愛称で親しまれています。近世史の研究者であった齋藤は数多くの著作を手がける傍ら、五浦を拠点としていた岡倉天心や横山大観、菱田春草(しゅんそう)らと交流し、彼らの活動を支援します。特に天心の創始した日本美術院の再興をはかるべく、大正3年(1914)には発起人の一人となり、実に半世紀近く、大観らとともに再興日本美術院の経営に携わりました。
本展は、そんな再興日本美術院の立役者たる齋藤にスポットを当てた全国初の展覧会です。初公開作品をふくむ齋藤旧蔵品を中心に、齋藤と交流のあった大観や小川芋銭(うせん)、そして再興日本美術院の歴史を彩った作品を紹介しながら、院の歩みを振り返ります。そのほか、歴史家としての業績や、齋藤の愛した水戸南画等、県ゆかりの古美術との関連についてもあわせて紹介します。