暑い季節、扇やうちわで涼をとり、手ぬぐいで汗をぬぐう。昨今ではそんな姿も日常的ではなくなってきているものの、夏の風物であることにかわりありません。しかし、扇・うちわ・手ぬぐいは、そうした日用品としてのみ愛用されたのではなく、様々な用途や場面で使われてきました。扇はその形状の豊かさから、意匠として、あるいは絵や書を書くための画面“扇面”として鑑賞の対象ともなりました。一方で、能や舞踏に扇(舞扇)は欠くことのできない道具であり、武将は軍配(軍配団扇)で戦の指揮を執りました。細川家は武勇の誉れ高き家柄でありながら、同時に芸術文化面にも造詣が深く、能をはじめとした道具類・書画類が数多く遺されています。また、16代細川護立は古美術品コレクターとしてだけでなく、日本画家や洋画家達のパトロンとして知られています。護立が日本画家らに依頼した扇もさることながら、贈答品として洋画家たちに下絵を描かせた手ぬぐいはとてもユニークなものとなっています。この展覧会は様々な用途、デザインの扇・うちわ・手ぬぐいを見ていこうとするものです。