明治時代、輸出用の工芸として人気を博した七宝。並河靖之(1845-1927)は、京都で七宝作家として活躍しました。並河は武士出身でしたが、明治維新後は七宝業に取り組み、海外で人気を博しました。明治29年(1896)には帝室技芸員となり、当代一流の工芸家としての地位を確立することになりました。
近年、明治時代の美術・工芸が再注目されています。近代日本美術の発展に尽くした岡倉天心(1863-1913)の業績を顕彰する五浦美術館では、天心と同時代に活躍した並河靖之の初期から晩年までの七宝作品を一堂に紹介する展覧会を開催します。本展では、並河七宝の名品に加え、下絵等の関連資料、修学院離宮に伝わる江戸時代初期の飾り金具、さらに並河と同時期に活躍し「東のナミカワ」と呼ばれた濤川惣助(なみかわそうすけ)の七宝作品なども展示することで、並河七宝の魅力を明らかにします。