1965年開園の「こどもの国」(横浜市)は、豊かな自然の中での子供の成長と未来に向けて、1960年代を牽引した建築家たちが共演したプロジェクト。懐かしい開園時の創造的な建築世界へ誘います。
「こどもの国」(横浜市青葉区)は、1965年5月5日に開園した児童厚生施設。多摩丘陵に広がる約100ヘクタールの自然豊かな土地を活かして子供の遊び場を作るという発想は、その後の類似施設の先駆的モデルとなりました。「こどもの国」の設計者の多くは、メタボリズム(新陳代謝という意味)という建築家・芸術家グループの結成にかかわり、生物が新陳代謝するように成長する建築、他者との共生に配慮した建築を重視した建築思想と未来都市像を発展させました。こどもの国は、後に日本建築界を担うことになる建築家たちが、若々しい発想力を生かして、自然と子供の遊び、子供の未来のための施設デザインに取り組んだ場所です。1960年代という、今日に比べて進歩主義的な社会状況の中での、共生、持続、更新といった、現代社会の大きな課題への先駆的取り組みの芽生えを見ることができます。