十和田市現代美術館と十和田市に新たに開館する(仮称)地域交流センター(藤本壮介設計)を会場に、彫刻家 名和晃平の個展を開催します。名和は、セル(細胞・粒)で世界を認識するという独自の概念を軸に、ガラスや液体などのさまざまな素材や技法を横断しながら、彫刻の新たなあり方を一貫して追求しています。十和田市現代美術館では、名和の代表作「PixCell」シリーズの《PixCell-Deer#52》を中心に、流動する液体が無数の泡を生み出す作品や、粘度のある液体の雫がキャンバスの上に符号のようなパターンを描く作品などを展示します。また地域交流センターでは、平面作品で構成するインスタレーションを展示します。
展覧会タイトル「生成する表皮」(Generative Interface)は、本展で発表される名和の作品に通底する感覚を表しています。透明な球体のレンズ効果により、見るものの視点が移動するとともに映像的に姿を変える「PixCell」、シリコーンオイルからグリッド状に泡が沸き立つ《Biomatrix(W)》。刻々と変化する界面は視覚を静かに刺激して、見るものの感性を鋭敏にします。名和は、情報化時代における知覚や認識のリアリティを背景に、物質と感性を仲立ちするインターフェースとしての「表皮」に焦点を当てています。この展覧会では、素材の探求を通じて彫刻の概念を拡張してきた名和の活動の一端を、多様な作品から感じ取ることができるでしょう。