今回は石見地域出身、または石見にゆかりのある画家たちのなかで、戦後、独自の芸術を貫き、個性豊かな作品を創りあげた人々の絵画を紹介します。
日本では、第二次世界大戦の前と後で、人々の生活や価値観が大きく変わりました。そうした時代の変化に翻弄されながらも、彼らはひたすら画業にいそしみ、自らの芸術を追究しました。
浜田で長らく高校の美術教師を勤め、後進を育てながら絵を描き続けた山﨑修二や、終戦後に過酷なシベリア抑留を経験し、後年「寺戸ブルー」と呼ばれる美しい青色で、故郷の海景を描いた寺戸恒晴。父の郷里・津和野を愛し、単なる具象でも抽象でもない独特の世界観を風景画に投影させた喜多村知(さとる)など、彼らの作品は唯一無二といってよいほど独自性が強く、共通してどこか懐かしさを秘めた優しさが漂います。
本展では、令和3年度に寄贈いただいた寺戸恒晴の作品5点が初公開となります。この機会に、石見ゆかりの作家たちによる競演をお楽しみください。(展示点数約20点)