金子鷗亭(1906-2001)と中野北溟(1923生)は、いずれも北海道出身の日本を代表する書家です。松前町に生まれた金子鷗亭は、現代書の父と称される比田井天来のもとで古典の書を学び、新しい書のあり方を追求しました。戦後は毎日書道展の創設に参画し、近現代文学を題材に漢字と仮名を調和させる表現を提唱。「近代詩文書」として新部門を設立し、現代書の振興に大きな役割を果たしました。
一方、中野北溟は羽幌町焼尻島生まれ。北海道第三師範学校(現・北海道教育大学旭川校)に学び、中学校で教員をしながら研鑽を積みました。鷗亭の思想を受け継ぎ、今日に至るまで詩文書を中心に精力的な制作を続け、主に北の風土に根ざした独自の表現を創り上げました。
本展は、道内のミュージアムが連携する「アートギャラリー北海道」事業の一環として羽幌町の「羽幌町中央公民館(書の北溟記念室)」の所蔵品を含む約60点を展示します。北海道が誇る二人の書家の作品を通して、現代の書の魅力をお楽しみください。