本展覧会は、大型の造形作品を中心に日本現代陶芸の第一線を走り続けてきた井上雅之(1957-)の過去最大規模の個展です。井上は、ろくろ成形後に割った破片を作品の一部に用いたり、ボルトで陶のパーツを組み立ててダイナミックな作品を作り出したりするなど、従来の常識にはまらない自由な発想で陶の可能性を大きく拡張しました。井上は、本年度末には長きにわたり教鞭をとりつづけてきた多摩美術大学の教授を退官し、作家として新たな一歩を踏み出します。この節目にあたり、企画展示室はじめ館内各所にわたって大規模に展開される本展では、初期から新作まで約70点を通じて1980年代から現在までの40年間の歩みをたどり、作家の今を紹介します。