ブラジル美術の特徴として「身体」というテーマへの飽くなき関心があげられます。この展覧会では、絵画、写真、映像、彫刻、インスタレーションなど様々な表現手法を用いてこのテーマに取り組んだ9名の作家を紹介します。なかでも3人の物故作家(タルシラ・ド・アマラル、リジア・クラーク、ミラ・シェンデル)にその「身体」に対する問題意識の原点を見いだし、6人の現代作家がそれをいかに継承、展開してきたかを辿ることで、時代を超えて連なるブラジル美術のユニークな創造性が明らかになるでしょう。
「ボディ・ノスタルジア」というタイトルには、ブラジルの歴史や現実が刻み込まれた身体という意味と、身体との新しき出会いへの抗しがたい希望という意味が込められています。それらがアートとして形をなすとき、前者は、過剰なまでのエネルギーの発散に、後者は、繊細な感受性の発露へと向かい、その強弱、動と静の鮮やかなコントラストがまた、ブラジル美術の際立った特徴のひとつになっているのです。
【講演会】※各回14:00~15:30 いずれも聴講無料 申込不要 先着150名(正午に整理券を配布)
6月26日(土)今福龍太(札幌大学教授)「ブラジル・人類学・映像」
6月27日(日)古谷嘉章(九州大学教授)「ブラジル・モデルニズモの射程:タルシラと食人主義」
7月 3日(土)中原仁(音楽評論家)「トロピカリア:音楽・美術・映画・演劇のミックス・アート、その歴史と現在」
7月10日(土)栩木章(映画評論家)「〈証しと伝承〉としてのシネマ・ノーヴォ」
7月11日(日)赤坂大輔(映画評論家)「シネ・トランス&トラッシュ ブラジル映画の〈開かれた口〉」
7月17日(土)東琢磨(音楽評論家)「トランスアトランティックなブラジル」
7月18日(日)五十嵐太郎(建築史家)、白井良邦(Casa BRUTUS 編集者)「オスカー・ニーマイヤーの建築とブラジリア」
7月19日(月・祝)國吉和子(舞踊評論家)「ブラジルにおける舞踊について」
7月24日(土)林道郎(上智大学助教授)「ブラジル現代美術の水脈――身体の蜜が揺らされて…」
7月25日(日)吉増剛造(詩人)「ブラジルと郷愁(サウダージ)」
【巡回予定】
京都国立近代美術館
2004年8月17日(火)~ 9月20日(月・祝)
・・・