力強く濃密な絵画表現が特徴的な画家・児玉知己が描き出す絵画は、波や植物が絡み合う筆致で繊細に重ねられた絵の具がキャンバスを覆い尽くすように描かれた作品が特徴。色彩豊かで新鮮な表現形態の中に、深遠な世界が広がりをみることができます。その表現は、シダ類などが無限に増殖していき、キャンバス面を覆い尽くしていくようなエネルギーと生命感溢れるものです。あたかも噴出するかのような力強さを感じさせてくれる絵画は、有機的でしかも変幻自在に描き、生命の持つ蠢きや揺らぎとして捉えることもできるものであり、若々しい新鮮な表現形態の中に、深遠な思索の過程や、新たな個性の芽を見出すことができます。ダイナミックで鮮烈的な色彩を用いて表現していく児玉は、あたかも日記を書き続けるかのように、日々の痕跡としてシダやコケ植物などの植生を連想させる絵画作品を生み出していきます。
本展では、児玉の芳醇で魅力的な絵画の世界観を近作によって紹介していくものです。