桐生の地で制作をつづけ、抽象絵画の先駆者として活躍したオノサト・トシノブ(小野里利信・1912-1986)は、今年6月、生誕110年を迎えます。
戦前より、抽象の道を歩みはじめたオノサト・トシノブは、絵画とはなにかを問い、その可能性を絶えず探究しつづけた画家でした。1950年代には、輪郭をもたない単色の円を一つ、あるいは複数並べ、幾何学的な形、緊密な線描によって「ベタ丸」と呼ばれる作品世界を展開します。独自の絵画様式を確立し、国際的にも高い評価を得ました。以後、1986年に没するまで、一貫して自らの方法で平面空間を思考し実践し続けました。
オノサト・トシノブは、カリスマ性をともなって桐生の若い芸術家たちに強い影響を与えてきました。同時にその作品は、桐生の多くの人びとに親しまれてきました。本展は、桐生における10年ぶりのオノサト・トシノブ展となります。桐生市内を中心に、作品と資料を一堂に集め、オノサト・トシノブの魅力を再考する機会とします。