「花と子どもの画家」といわれたいわさきちひろ。
チューリップ、バラ、ひなげし、ききょう、シクラメン……、ちひろは実にたくさんの花々を作品に描いています。
花が好きだったちひろは、庭で草花を育て、アトリエに鉢植えを飾るなど、22年間を過ごした東京・練馬の自宅(現・ちひろ美術館・東京所在地)で四季折々の花に囲まれた暮らしを楽しんでいました。花と語らい、花を慈しむ時間は、ちひろの創作の源泉となります。美しい花の造形を丹念に描いた時代を経て、やがて、ことばにできない繊細な心のひだを花に託した独自の表現へと移っていきます。
本展では、ちひろが描いた花の表現の変遷を追いながら、花々のなかに映るちひろの感性や美意識を探ります。