京都・岡崎に位置する細見美術館は、1998年の開館以来、古美術を中心とした日本美術のコレクションによって国内外の人々に親しまれてきました。そのコレクションは、大阪の実業家であり茶人としても知られた細見良(初代古香庵)氏に始まり、館長の細見良行氏まで続く細見家三代により蒐集されたものです。
細見コレクションの特徴は、各作品の質の高さはもちろん、古代から現代に至る日本の各時代、絵画・彫刻・書蹟・諸工芸の各分野を網羅し多彩であることです。とりわけ、今日高い人気を誇る琳派や、江戸時代の京の絵師・伊藤若冲(1716-1800)の作品群は、細見家が早くから着目し蒐集を続け、公開してきた非常に貴重なものです。
本展では、細見コレクションの中から、若冲の作品16点を展観するほか、若冲を生み、その異才を育んだ「京」の歴史・文化を伝える美術品の数々を紹介します。歌仙絵、茶の湯の美術、名所図や祭礼図、物語絵、琳派の絵画など、重要文化財や重要美術品を含む選りすぐりの約90点を4章で構成し、若冲と「京」の美意識が織りなす日本美術の奥深さを浮き彫りにします。