デザインは、間を適切に繋ぐこと。そしてデザインとかかわりのない物事は何ひとつないとすれば、デザイナーがやるべきことは無限にあります。「間」は常に変化するので、「適切」な繋ぎ方もその都度模索し続けなければいけないでしょう。このような姿勢で長年「間」を繋いできた結果、目に見えなかった物事が多様な形で可視化されてきました。それが社会の役に立っているのかどうか。それはデザイナーが決めることではありません。環境も人の意識も変化する中で、我々は常にそこに耳を澄まし、直すべき時は直す。間を適切にチューニングするような感覚でしょうか。ここに自分というスタイルがどれだけ必要なのかを問えば、答えは自ずと出るのです。
しかしこれは仕事への姿勢であって、私は時々自発的に実験的作品を発表してきました。この度の展覧会では、1階は実験的作品を中心に。地下には仕事の展示をし、2階では山中有さんと共につくった映像作品をご覧いただきます。作品と仕事。自発と他発。主観と客観の両面を見ていただき、私と私の会社が何をやっているのか。自戒の念も込めた本展が、皆さまの何かお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。尚、〈 in LIFE 〉というタイトルには、デザインは特別なものではなく、常にあたりまえの生活の中にあるという意味を込めています。
TSDO代表 グラフィックデザイナー 佐藤 卓
株式会社TSDO
1984年佐藤卓デザイン事務所設立。2018年TSDOに改名。「ニッカ ピュアモルト」の商品開発から始まり、「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」「エスビー食品 スパイス&ハーブ」のパッケージデザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のグラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」のシンボルマークなどを手掛ける。そのほか、施設のサインや商品のブランディング、企業のCI、NHK Eテレの子ども向け番組制作に参加するなど、活動は多岐に渡る。『water』『縄文人展』『デザインの解剖展』『デザインあ展』『風景の科学展』など、展覧会も多数企画・開催。