「私をささえてくれたものは郷土であり、郷土の大先輩たちです。朝倉文夫、福田平八郎、髙山辰雄などの諸先輩がどんなに心のささえになり励ましとなったことか」
―河合誓徳「郷土を誇りに 陶芸家 河合誓徳」『大分合同新聞』1972年7月4日
大分県出身の陶芸家・河合誓徳は、山々が重なり合う風景やみかん畑の風景を陶芸作品に表現しました。これらは、大分県内でのスケッチに基づいています。河合は「工芸の空間の中で人に感動を与えるものは何か。それは愛情ではないかと思った。愛情を持てるのは、自分の古里」だと考え、「古里」をモチーフに選んだと述べています。
同じく大分県出身の日本画家・髙山辰雄も、《限りなき大分》のように大分の風景を描きました。また、例えば《明けゆく》のような、どこと明示しない風景画についても、描かれる雄大な山々や静かな森の景色は、髙山にとってのふるさと大分の心象風景のように見えます。河合と髙山は、陶芸と日本画という異なる分野で活躍しましたが、その風景表現には、静かな森に湿度の高い空気が立ち込めるような景色が共通しています。
河合誓徳と、河合が薫陶を受けた同郷の先輩・髙山辰雄、それぞれのふるさと大分の風景をお楽しみください。