大分の地は、江戸時代を代表する南画の巨匠・田能村竹田(たのむらちくでん)が出現したことにより、明治・大正期に至るまで、数多くの南画家が輩出し、全国的にみても注目すべき高度な作画活動が行われました。
竹田(たけた)に生まれた田近竹邨(たぢかちくそん)もそうした南画家の一人です。竹邨は田能村直入(たのむらちょくにゅう)に入門して頭角をあらわし、富岡鉄斎(とみおかてっさい)と共に京都南画界の双璧として活躍。故郷から離れた地で活動しながらも、生涯、郷土の先人達を慕い続け、田能村竹田から帆足杏雨(ほあしきょうう)、田能村直入へと続く「豊後南画(ぶんごなんが)」の流れを、近代の新しい南画を模索する中で、確かに受け継いでいきました。
本年は竹邨の没後100周年にあたります。これを記念し、本展ではその初期から最晩年にかけての重要作品により、約40年にわたる竹邨の画業をふりかえります。