サンリツ服部美術館では、1995年の開館以来、服部一郎(1932~1987)が蒐集した近現代の絵画を服部一郎記念室でご紹介して参りました。
この度は生誕90周年を記念し、コレクションの名品を過去最大の規模でご紹介いたします。
服部時計店創業者・服部金太郎を祖父に持つ一郎は、東京大学卒業後にスイス、アメリカへの留学を経験し、その後も国際経済活動に諸外国を飛び回る多忙な生活を送りました。国際派の経営者として活躍していましたが、55歳という若さで急逝。実直で人望が厚かった彼の早すぎる他界は多くの方から惜しまれました。
当館の近現代絵画は、一郎が忙しい日々の合間を縫って日本やフランス、アメリカなどで求めたものです。19世紀末から20世紀の作品が大半を占めており、親しみやすい画題と温かみのある色彩が多いその作品群からは、情に厚く、生きる喜びを大切にした人柄が偲ばれます。
本展覧会では、そのなかから50点の名品を精選し、画家同士の交流やつながりに触れつつご紹介いたします。
服部一郎がこよなく愛した魅力あふれる作品との出会いを、お楽しみいただけましたら幸いでございます。