江戸時代、中国舶来の絵画に描かれていた風景は「写意」を重んじた心象風景でした。やがて、この「写意」の表現に、実際の景色(実景)を取材した成果を取り入れる描き方―「真景図」―が流行し始め、先人の模倣だけでは到達することのできない真の山水図を描く方法として後の文人画家たちにも受け継がれていきました。
開国後、明治維新を経て様々な外国文化が流入し、文人画や南画における風景表現も西洋絵画の影響を大きく受けましたが、これまでに培われた文人の精神を引き継ぎながら新しい時代の風景表現を試みる画家たちも多く現れました。本展覧会では、江戸時代に隆盛した文人画と明治以降の南画に描かれた山水風景の表現の違いや共通点に注目します。