私はシンプルに世界を見ている。それは、尽きせぬ喜びの源だ。ソール・ライター
近年、最も注目されている写真家のひとり、ソール・ライター(1923ー2013)は、1950年代からニューヨークでファッション写真家として第一線で活躍し、1980年代に表舞台から退きました。しかし、2006年にドイツで初の写真集『Early Color』が出版されると大反響が巻き起こり、一躍脚光を浴びます。「カラー写真のパイオニア」と称されたソール・ライターは、以降展覧会の開催や映画などを通じて世界中の人々に知られるようになりました。日本では2017年に東京で初めての個展が開催され、大きな話題となりました。
ニューヨークを舞台に、ソール・ライターは類稀な造形感覚によって、日常が織りなす光景を独自の距離感で撮り続けました。世界中が平穏な日々を願う昨今、ソール・ライターの作品や言葉が、私たちに日常のありようを静かに問いかけてくるようです。
本展では、2014年に創設されたソール・ライター財団が管理する膨大な作品資料のアーカイブから、選び抜かれた作品を展覧してソール・ライターの業績を辿るとともに、その創作の源泉に迫ります。