現実と非現実が絶え間なく交差していく独特の世界を表現し国際的な映像祭で高い評価をされてきた映像作家中村智道による写真展覧会を開催します。
中村は、この作品において、人と蟻のイメージを重ね、ここから世界の広がりを表そうと試みています。
蟻は人間と同じように社会を持ち、階級を持ち、戦争もします。そしてそのような類似性を持ちながら、人間より肉体的には小さく弱く儚いものにみえます。
しかし、作品を通して並べてみると人間も儚いことに気がつきます。蟻の一生を人間の一生に重ねることで、一人一人の人生、他の生き物にも、その一生の断片があり、その無数の段階でこの自然界は存在します。この複雑な世界を、独自の表現で表しています。写真活動においては、初の写真作品「蟻のような」で2019年にキャノン写真新世紀においてグランプリ受賞、2作目の「Ants」は、2020年、東京都写真美術館にて個展が開催され、3作目の「ヤドカリの家」は、コンテンポラリー写真アートにおいて、最も名高い賞とされる、レンズカルチャーアートフォトグラフィティアワードにてjurors'Picks(審査員賞)を受賞。
本展では、キヤノン写真新世紀2019グランプリ個展作品を中心に、独自の視点によって制作された作品を再構成、展示いたします。