中世武士は、世襲制の職業戦士であるとともに、地域の領主としても存在しました。中世武士の地域支配は、武士個人の力量によって実現したわけではなく、主に一族と家人によって構成された武士団という集団(組織)を形成することで実現しました。そのため本企画展示では、武士団を戦闘集団ではなく「領主組織」という観点から捉えます。中世武士が武士団という領主組織を形成して遂行した地域支配の実態と展開について、13~15世紀を中心に、中世の文献・考古・美術資料のほか、近世~近代の絵図・土地台帳やフィールドワークに立脚して復元した本拠景観にもとづき、その具体的な様相を展示します。事例には、豊かな資料を今日に伝える、石見益田氏・肥前千葉氏・越後和田氏を主に取り上げます。