『源氏物語』は、光源氏の一生とその一族たちの様々な人生を扱いながら、王朝文化最盛期の貴族たちの世界を優艶に描いた、日本が誇る世界的文学作品です。この素晴らしい原典を絵画化することは『源氏物語絵巻』にはじまり各時代の名匠たちによっても描かれ、古来よりわが国の美的インスピレーションの豊かな源泉となりました。
本展は『源氏物語』を第一帖「桐壺」から第五十四帖「夢浮橋」まで、タイトルごとに京都ゆかりの現代の日本画家によって制作されたものです。作者ごとに見られる様々な手法や作風は、脈々と受け継がれてきた京都画壇の現状が見られ、また題材を『源氏物語』にもとめることによって、それぞれの作家の普段見られることのない、全く別の世界が描き出されています。『源氏物語』の舞台となった京都で、王朝浪漫に思いを馳せながら、渡り受け継がれてきた芸術をもって描き出された「源氏五十四帖」の情緒あふれる雅な世界をお楽しみください。