アーツ前橋では収蔵作品を中心に、地域ゆかりの作家の作品や県内の美術館、コレクターの所蔵作品とともに構成するテーマ展、<コレクション+>を開催してきました。今回の<コレクション+>では、「軌跡」をテーマに、絵画、写真、映像、立体、インスタレーションなどの多彩な作品を紹介します。
「軌跡」は人や物事、時間の辿ってきた跡や、あるいは内的な世界の表出、さらに図形を表す線など多くの意味を内包しています。アンドレ・ブルトンの著書『夢の軌跡』では、シュルレアリスムにもとづき「夢」は芸術の根源とされる無意識の象徴とされ、その軌跡は言葉や造形としてかたちを得て、詩や絵画として芸術の華を咲かせます。また「軌跡」とは文字どおり「線」そのものを示しています。線によって描かれるドローイングには思考の源が表れ、また線の軌道が描き出す「円」には、抽象的、幾何学的な形態のみならず、精神的なものを含めた概念や関係性を見出すことができます。本展では、無意識の表象、あるいは行為や運動の記憶など、さまざまなかたちで表出する「軌跡」についての考察を試みます。