斎藤真一は1922年、岡山県倉敷市児島味野に生まれました。小学生の頃から絵を描くことを好み、1942年4月東京美術学校図画師範科(5月、師範科に改称)に入学、油彩画を学びます。戦争もあり卒業まで7年を要しますが、1948年、卒業後は美術教師と画家の二足わらじで歩み始めます。斎藤はこの年第4回日展に初出品、初入選して画家としての足がかりも得ました。斎藤は初め岸田劉生や、その当時の藤田嗣治の作風に影響を受けた作品を発表していましたが、渡欧をきっかけに作風が変化していきます。特に藤田嗣治から与えられた言葉「日本では、雪の東北あたりに、絵の主題は転がっているはずだよ」を頼りに東北に旅に出て「瞽女」との運命的な出会いがその後の作品に大きな影響を与えました。斎藤の発表した「瞽女」シリーズは高い評価を得ました。その色彩は目の見えない瞽女が心に抱いた色を表わし、瞽女の心の中に生きる情景を描き出しました。「瞽女」を描いた作品は1971年、第14回安井賞展で佳作賞を受賞するなど斎藤の代表作となりました。その後、「明治吉原細見記」シリーズを発表し、昭和ロマン、「さすらい」シリーズと数々の名作を発表しました。
本展覧会では、斎藤真一の初期作品から最晩年までの作品82点で構成し、斎藤芸術の全てを紹介するものです。