尼谷良(本名=松田與四郎、1906-1976)は天童市小路出身の洋画家です。天童尋常高等小学校を卒業後、資格を得て仕事につきますが、画家になりたい気持ちを抑えきれず、家族の反対を押し切り、東京に出て働きながら美術研究所で学びます。その後、関西美術研究所で絵を学び、画家として活動を始めます。はじめはデザインの仕事と画業を並行していましたが、後に画業に専念します。1949年に太平洋展に初入選して以来、発表の場の中心とします。太平洋画会では51年に特選受賞、会員に推挙されます。1960年には渡仏し、彫刻家ザッキンと親交を結び、パリの画廊で個展を開催、サロン・ドートンヌにも出品しました。パリでの経験を糧とし、その後も積極的に画業に励みました。
尼谷の作品は明快な色彩と形態が魅力です。その表現は高い評価を得て、今なお愛されています。
本展は遺族であり画家である尼谷義雄氏から寄贈を受けた尼谷良作品を中心にして、地元にある作品を加え展示いたします。併せて、特別展示として尼谷義雄氏の作品を展示します。義雄氏もイタリアで絵とデザインを学び、数多くの美術賞を受賞、現在も活躍しています。この二人の作品をとおして尼谷良から尼谷義雄に受け継がれた精神をお楽しみください。