■ 1928年パリに生まれたベルナール・ビュフェは、1947年のサロン・デ・ザンデパンダンに出品して脚光を浴び始めました。その制作活動は油彩のみならず版画、挿絵、舞台美術にまで及び芸術家としての情熱と幅広さを感じます。
■ リトグラフ制作では、複製としてではなく芸術としてのリトグラフに挑戦したひとりとして知られており、多くのシリーズを残しました。
■ 当館が寄託を受けているリトグラフシリーズの中から、今年は『モン・シルク』(私のサーカス)を公開いたします。この作品は、ビュフェの子供たちのために制作されました。また、1969年1月にパリのオペラ座で初演されたセルジュ・リファール振付バレエ「ル・グラン・シルク」(大サーカス)の衣装のもとにもなっています。
■ 大判の紙にビュフェ独特の鋭い黒の線と鮮やかな色調で刷られた画面は、賑やかなショーの様子と曲芸師たちの無表情から感じられるのであろう悲哀が混在した不思議な雰囲気を醸し出しています。大谷コレクションの油彩画とともに、ビュフェの世界をお楽しみください。
■ 小展示室では、夏の風物詩を描き出した肉筆浮世絵、北尾重政《ほたる狩図》、伝葛飾北斎《蚊帳美人図》等と川合玉堂《松籟濤聲》、寺崎広業《深山の夏》等の近代日本画を展示いたします。