藤原定家によって撰ばれ、鎌倉時代初期に成立した秀歌撰である百人一首は、江戸時代には身分を問わず様々な人々に親しまれました。そのなかで、百人一首の和歌に別の物語や当時の流行を重ねる遊びも生まれました。本展では、幕末の浮世絵の巨匠たちによる「小倉擬百人一首(おぐらなぞらえひゃくにんいっしゅ)」(三代豊国、国芳、広重)と「百人一首之内」(国芳)の二つの錦絵シリーズを紹介します。
「小倉擬百人一首」は、和歌と当時よく知られていた物語や芝居などを言葉遊びで繋げたものです。「百人一首之内」は、和歌を実際の情景に当てはめたもので、どちらもユーモアとウィットに富んだ作品です。私たちが思い描く雅で美しい和歌の世界とはひと味もふた味も違う江戸時代の百人一首を、那珂川町馬頭広重美術館の浮世絵でお楽しみ下さい。