昭和の大作曲家であり、日本歌謡史に燦然と輝く古賀政男(1904~1978)は、筑後川の河口近く福岡県三潴郡(みずまぐん)田口村(現・大川市)に生まれました。旅芸人の笛や太鼓、親戚の奏でる大正琴や三味線の音色の中で育った古賀は幼少から音楽への興味を抱いていきます。やがて上京し、明治大学在学中には明大マンドリン倶楽部の創設に参加、作曲家をこころざし昭和6年に名曲「影を慕いて」を発表しました。その後も日本人の琴線に触れるメロディーを多数生み出し、音楽界では初の国民栄誉賞を受賞するなど深く幅広い人気を博しました。73歳の生涯を終えるまでに創作した曲の数は4000曲にものぼるといわれており、「影を慕いて」、「酒は涙か溜息か」、「東京ラプソディー」など代表作の数々はいつしか『古賀メロディー』と呼ばれ、現在でも数多くの歌手によって歌い継がれています。
本展では古賀政男の生涯100年を記念し、レコードジャケットや楽譜ピース、ギター、マンドリンなど、また、愛蔵の絵画や遺品などを展示し、昭和の一時代を築いた作曲家の足跡を一堂にご紹介いたします。時代を超え受け継がれていく名曲の数々を時代背景とともにご紹介する初の本格的な大回顧展をこの機会にお楽しみください。