2022年度コレクション展第1弾のテーマは「抽象」です。
この作品には何が描かれているの?これは一体なんだろう?など、頭を悩ましたことはありませんか?抽象的な作品は、目に映るものではなく画家の心に湧き上がる何かが表現されているため、一見難しいと思われがちです。しかし、点、線、色、形、絵肌、素材、タイトルなど作品に残された痕跡を一つひとつ丁寧に見ていくと、見る人それぞれの感覚を刺激する不思議な魅力があることに気づくはずです。
自由奔放な点や線は、画家の手や身体の動きと重なり、辿っていくとリズミカルな動きが体感できるでしょう。様々な形や色は、絵画空間の面白さを感じさせるだけでなく、具体的な何かを見る人の心に浮かび上がらせるかもしれません。ザラザラ・デコボコした絵肌は、触れなくても素材の質感が手に伝わるような、不思議な感覚を呼び起こしてくれます。
「絵が解るというのは、絵に何かを感じることができるか」であると、本展に出品した浅野弥衛は語っています。これは抽象なの?ということに囚われず、作品の痕跡を探りながら、作品そのものとの対話を楽しみ、あなただけの特別な一点を見つけてください。