人びとの姿かたちを表現した絵画には、数多くのテーマがあります。当館のコレクションには、江戸時代を中心に個性豊かな人物を描いた作品が揃っています。
例として、礼拝の対象とされる肖像画、憧れや好奇の眼差しを向けられた美人や異国の人の姿、画中で集い交情を深める人たちなどがあります。それらからは、描かれた対象同士のほか、作り手や当時の鑑賞者との関係など、作品をめぐる人と人との親密なつながりが見て取れます。このたびの展示では、1人、2人、3人といった少人数から賑わう人々まで、描かれた人の数に着目した展示を行います。単身像、群像における表現の変化を感じ、人物図について思いを巡らせて頂く機会とします。
他者との心や体の距離感を考えさせられる今日、密を厭わず一堂に会した画中の人びとの姿かたちを、どうぞお楽しみください。