ペンティ・サマラッティは、1950年ヘルシンキに生まれます。1969年から10年間フィンランドの起源をテーマとする撮影プロジェクトに従事し、故郷のフィンランドをはじめ、世界中を旅して動物や自然の風景をフィルムにおさめました。
サマラッティの写真は、まるで時が止まったかのような静謐な印象を受けます。フィンランドでは、夏は日が沈まずに薄明りが続く「白夜」と呼ばれる時期があり、冬は太陽の上がらない「極夜」があります。また国土の多くが森に覆われ、冬は雪と凍結する美しい湖に囲まれている環境です。北欧の豊かでありながらも厳しい自然環境の中で培われた感性は、サマラッティ独自の美意識を作り上げ、その作品にも反映されています。
今、私達の視覚は情報処理のための記録作業として知らぬ間に酷使されていますが、サマラッティの写真は純粋に見ることへと視覚を導いてくれます。そこに「問い」が生まれ、本質を垣間見ることができるのではないでしょうか。
フィンランドを代表する世界的写真家ペンティ・サマラッティの日本初の展覧会を、この機会に是非ご高覧ください。