「くまもと花とみどりの博覧会」に際し、太田三郎の展覧会を開催します。太田は切手を用いた作品で知られるアーティストです。切手が有する時間や場所といった概念、施されたデザインに対するそのユニークな着眼は、数々の優れた作品を生み出してきました。本展ではその中から、植物の葉や種子をモチーフとした作品をご紹介します。太田は長年、植物の種子採取をライフワークとし、自宅周辺をはじめ、旅先や仕事で訪れた土地の数多くの植物と接してきました。「ある時」「ある場所」に実際に生えていた植物と切手を重ねることで生まれた作品は、日常生活から歴史や社会に至るまで、私たちを取り巻く世界にそっと光を当てる力を持っています。
一枚の葉、一粒の種を介してもたらされる、気づきと想像。本展の会場をでたあとには、すぐそこにある植物と世界に対する私たちのまなざしが、前と少し変わっているかもしれません。