歌川国芳(1797~1861)は、葛飾北斎や歌川広重らと同じ江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、奇抜な構図と大胆な表現によって「奇想の浮世絵師」として江戸庶民から大きな支持を得ました。国芳は、15歳の時に歌川派に入門し、当初は読本の挿絵や役者絵の仕事を細々とこなす長い下積みの時代を送りました。
31歳の時、当時、大人気であった中国の長編小説「水滸伝」を題材にした武者絵「通俗水滸伝豪傑百八人之壱人」で、物語に登場する豪傑たちをダイナミックに表現し大好評となり、この浮世絵はシリーズ化されました。それ以後は、「武者絵の国芳」と呼ばれる人気絵師となり、歴史や物語に登場する英雄や豪傑たちを描き、版元や庶民が求めた人気の役者絵や美人画、人々の生活の様子や風景画など、様々なジャンルの作品を多く遺しました。さらに西洋画の構図や技法を取り入れた作品など、江戸の人々を大いに喜ばせました。
本展では、国芳の代表作である「水滸伝」のシリーズを始め、三枚続の大胆な構図の「相馬の古内裏」や「忠臣蔵」など約160点を展示し、国芳の魅力を紹介します。