70歳以上を応募条件とするこの公募展は、「華麗ではないが美しい世界、巨大ではないが強い世界、技巧はないが技巧を超えている世界、画法・画論に還元できないもう一つの美術を求め」(※1)、2004年に初めて開催されました。以降は隔年で行われ、このたび第9回目を迎えます。本展では、全国44都道府県から届いた481点の中から、審査により選ばれた入賞・入選作品110点を展観します。
一人ひとりの作者が精力を傾けた作品は、生きる喜びや社会への不安、家族や恋人との幸福な思い出など、描くテーマも違えば、油彩や日本画など技法もさまざまです。ただ共通しているのは、年を重ねた作者の人間味が、鑑賞するひとの心にダイレクトに伝わってくるということ。個性あふれる絵画の鑑賞は、描いたひととの対話でもあります。110人の描く天衣無縫(※2)な世界をお楽しみください。
※1 第1回展の開催趣旨より。
※2 「天衣無縫」とは、天女の衣には縫い目が全くないということから、文章や絵画がわざとらしくなく、自然に作られていること。また、人柄が飾り気がなく、純真で無邪気なさま、天真爛漫なことをいいます。本展の趣旨と合致し、グランプリを「天衣賞」、準グランプリを「無縫賞」と名づけています。