- タイトル等
リアル(写実)のゆくえ
現代の作家たち 生きること、写すこと
- 会場
- 高岡市美術館
- 会期
- 2022-07-29~2022-08-31
※本展及び関連イベントについては、新型コロナウイルス感染防止対策を行いながらの開催となります。開催状況や防止対策については、あらかじめ当館のウェブサイトでご確認いただくか、お問い合わせのうえご来館ください。会場内の混雑緩和のため入場をお待ちいただくことがございます。
- 休催日
- 月曜日〈ただし8月15日は臨時開館〉
- 開催時間
- 午前9時30分~午後5時
〈入場は午後4時30分まで〉
- 観覧料
- 一般1000(前売・団体・シニア800)円/大学生700(団体560)円/高校生500(団体400)円/中学生以下無料
※団体は20名以上〈分散入場をお願いする場合あり〉
※シニア割引は65歳以上
※身体・精神障がい者保健福祉・療育など各種手帳ご提示の方と付添者1名は観覧料半額になります
※前売券販売は一般のみとなります〈前売券販売所:高岡市生涯学習センター(ウイング・ウイング高岡3F)、アーツナビ(高岡文化ホール、新川文化ホール、富山県教育文化会館、富山県民会館)、富山大和、画材たんぽぽ、高岡市美術館ミュージアムショップなど〉
- 主催者
- 高岡市美術館(公益財団法人高岡市民文化振興事業団)、北日本新聞社
- 協賛・協力等
- ◇共催:高岡市
◇後援:富山県、富山県教育委員会、高岡市教育委員会、NHK富山放送局
◇制作協力:NHKエンタープライズ中部
- 概要
○幕末から明治初めにはやった生人形の迫真の技は、当時の日本人はもとより、来日した西洋人にも大きな衝撃を与えました。明治二十年代に滞日した人類学者C.H.シュトラッツは「解剖学の知識もなしに強い迫真性をもって模写することもできる」生人形師の力量に感嘆しました。また、彼は、生人形が理想化も図式化もされず、ありのままの姿であることにも着目しています。
○高村光雲も幼い時に松本喜三郎の生人形の見世物を見ています。後年、彼は西洋由来ではない写実を気付かせた存在として、松本喜三郎をはじめとする生人形師を敬慕しています。
○ここで重要なのは、写実表現はそもそもこの国にあったということです。江戸期の自在置物や鋳金は高い技術により、対象を精巧に再現しています。写実は洋の東西を問わず追求されてきたと見るべきでしょう。ただし、西洋の文化受容により新たに「美術」という言葉が生まれると生人形や置物は、その定義から外され、長く美術史の表舞台からは姿を消すことになります。しかし、対象を生きているように、あるいは寸分たがわず写し取りたいという意欲は存続しました。それは、細部への過剰なこだわりや「もの」に命が宿るという非西洋的なアニミズムも大きく作用していると思われます。このような心情が根底にあり、その表現方法として新たに西洋由来の写実技法が加わったとみることができます。これは既存の写実の方法や感性を上書きする、もしくは書き替える作業であったことと思われます。
○今また写実ブームが到来しています。現代の作家も対象に没入することにより生々しさを帯びた作品を生みだしています。そこには先祖返り的な要素も見受けられます。これは旧来の伝統的な写実が息づいている証です。連綿と続く写実の流れが、いわば間歇泉の様に、息吹となって彼らの作品を介して噴出しているのです。また、彼らの作品の中には近代的なものと土着的なものが拮抗し、新たな写実を模索している姿勢も見出せます。このような傾向は、高橋由一まで遡ることができます。
○本展は、松本喜三郎らの生人形、高橋由一の油彩画、明治期の金工作品を導入部として、現代の絵画と彫刻における写実表現を検証するものです。西洋の文脈のみではとらえきれない日本の「写実」が如何なるものなのか、またどのように生まれたのか、その手がかりを探ります。
- イベント情報
- ◎関連プログラム:①特別対談「“リアルのゆくえ”の未来」8.20[土]講師:土方明司氏(川崎市岡本太郎美術館館長)、江尻潔氏(足利市立美術館次長)コーディネーター:村上隆(高岡市美術館館長)/②学芸員によるトーク8.27[土])※①②とも14:00~15:00、会場:地階ビトークホール、聴講無料、定員50名※申込方法(①②共通):往復はがき1枚につき2名様まで申込可能(多数の場合は抽選)。往信裏面に希望イベント名、申込人数、各々の住所・氏名・電話番号を、返信表面に代表者の郵便番号・住所・氏名を記入の上、高岡市美術館「リアルのゆくえ展イベント係」まで送付※締切:①8.2[火]、②8.9[火]