□作家コメント
「繋がる」は英語で言えば「link」でしょうか。
2021年の個展(ギャラリー白3)では「繋ぐ」という能動態を使っていました。それは私の意思です。今回の「繋がる」という言葉は、能動態でもなく、受動態でもない中動態の言葉だと思います。自ら進んで望んだわけでもなく、受動的に流されたわけでもない。何かと何かを物理的に結びつける、発想や記憶のような抽象的な何かを結びつけ、繋がったものの間で、何かが周る、循環する、行き来するようなイメージです。植物染料の色は歴史的にも世界の文化を繋ぎ、政治や社会の仕組み影響を与えて発展していきます。そして、過去にも、未来にもリンクしていくような感覚です。
古代、染色文化は舟で大陸から伝えられました。時を超え、未来や過去、人と自然、人と人、文化と文化が互いに影響し合って繋がる。植物の種子は海や川を流れて、新天地で芽吹く。自分の続けて来た仕事が、植物染料をキーワードに繋がっていく。研究実験すること、開発すること、教えること、作品を制作すること、アートで社会と繋がること、子を育てること、家という抽象的な空間を保つこと。大きな歴史の流れの一部と自分の個人の小さな記憶が混沌としつつ繋がる。
植物染料をキーワードに繋がる歴史と記憶、象徴の舟がギャラリーギャラリーの空間を通り抜ける出会いの一瞬をお楽しみください。