ウィーン美術史美術館は、オーストラリア・ハプスブルク家の膨大な美術コレクションをもとに創設された、歴史の古さと質の高さでヨーロッパ屈指の美術館です。本展は、同館のすぐれたコレクションの中から、美術史上ひとつの頂点をつくり上げた16・17世紀のフランドル(南部ネーデルラント・現在のベルギーとほぼ同地域)、オランダ絵画にテーマを絞り、その時代を代表する巨匠たち -ルーベンス、ファン・ダイク、レンブラント、フェルメールの名品をそろえて、栄光の時代が生み出した美の精華にふれていただこうとするものです。特筆しなければならないのは、フェメールの代表作のひとつ「画家のアトリエ(絵画芸術)」が、本展のリストに加えられたことです。この作品は、ウィーン美術史美術館の至宝であるにとどまらず、ヨーロッパ絵画の珠玉であり、この作品に出会うためだけにウィーンを訪れる人が絶えない特別な存在です。日本初公開となるオランダ絵画の最高傑作が出品されることは、日本の展覧会史上、最大の出来事のひとつとして記憶されるに違いありません。出品される58点には、上記の巨匠たちのほかに、ヤン・ブリューゲル、ヤン・ステーン、ヤーコラプ・ファン・ライスダールらの名作も含まれます。絵画の黄金期を語るにふさわしい見ごたえのある内容となっています。今日なしうる、夢のオランダ・フランドル絵画展を、ぜひご鑑賞ください。