“ふるさと”をテーマに全国各地を取材し、失われつつある日本の原風景を描きあげている原田泰治氏。
画家としての出発点は、自身のふるさと・信州の風景でした。デザイナーとしての仕事の傍ら、幼い頃に暮らした伊賀良村[現:長野県飯田市]での思い出を描いていた30代の始め、カメラマンの友人から「思い出ばかり描いていて、なぜ現在の素晴らしい信州の自然をテーマにしないのか」と忠告されたことが大きな転機となり、諏訪をはじめ、伊那谷から飯山、戸隠など信州の取材の旅を始めます。そして、それが後の[原田泰治の世界]へと繋がっていったのです。
原田氏が優しく温かなまなざしで描き続けてきた“ふるさと信州”。そこに描かれているのは、大きな建物や有名な観光地などではなく、その土地土地で実際に生活する人々の、慎ましやかな暮らしの風景なのです。信州の美しい自然に囲まれ、自然と向き合いながら一体となって生きている暮らしの様子は、いつまでも残しておきたい、語り継いで行きたい日本の原風景のひとつではないでしょうか。
今展では、原田氏がこれまでに描き上げた数々の作品の中から、信州の四季折々の風景を、1993年開催の信州博覧会および1998年開催の冬季長野オリンピック招致用ポスターを交えて展示いたします。