京都東山の地に壮大な伽藍を構える巨刹、南禅寺。鎌倉時代、亀山天皇(のち法皇)が自らの離宮を禅寺となしたことに始まるこの寺は、室町時代に入ると京都・鎌倉五山のさらに上位に位置づけられることで、わが国の臨済系禅宗寺院の頂点に君臨しました。また南禅寺の住持には五山を代表する名僧や中国からの渡来僧が選任され、彼らを中心として森厳な禅宗文化が都に花開いたことも特筆されます。その意味で、南禅寺は法脈のしがらみを超えたところに存在する、まさに「スーパー禅寺」であったといえましょう。
さて、京都国立博物館では、亀山法皇700年御忌の年にあたる2004年4月、それを記念した特別展覧会を開催することになりました。南禅時本坊および諸塔頭等の全面的な協力を得て公開される国宝4件、重要文化財41件を含む総計130件に上る名宝の魅力を存分にご堪能いただきながら、同時に南禅寺の長い歴史を振り返っていただこうという試みです。題して「名宝でつづる、スーパー禅寺物語」。