横浜市民ギャラリーの約1,300点の所蔵作品は、1964年の開館以来、企画展や国際展等を機に収蔵され、戦後から90年代初頭までの国内の美術史や横浜の美術シーンを反映しています。本年は、モノクローム―単色で表された、版画と写真作品を中心に展覧します。
版画は、技法の探求や材料の選択、描かれた図像等の要素が重なりあって多様な表現を生み出します。さらに単色で摺られることで、線や面が織りなす豊かなイメージが観る者の目をより惹き付けます。また写真は、光と影によって構成される平面のイメージへと被写体が変換されることで、対象の気づかぬ一面が表れ、自らの認識を新たにするような視覚体験を導くことがあります。本展は、4つの章-「線とかたち」「光と闇」「人のいる風景」「イマジネーション」と特集展示「浜口タカシー〈北海に生きる〉より」で構成し、モノクロームの抑制された色彩が生む表現の多様さや豊かさを紹介します。
*会場内では本展にあわせて収録した北川健次のインタビューを上映します。
特集展示 浜口タカシー〈北海に生きる〉より
報道写真家・浜口タカシ(1931-2018)が1981年、当館で開催した個展で発表したシリーズ〈北海に生きる〉から、極寒の北海道の風景やそこで漁をして生きる人々をモノクロームで写した作品を紹介します。