1922年10月に東京・田端で生まれた染色家の柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)。染を中心に、ガラス絵、版画、肉筆、絵本など、今なお新たな表現への取り組みを継続し、その創作意欲は衰えを知りません。柚木作品の特質はなんといっても、無垢な模様と澄んだ色彩といえるでしょう。それは古い工芸品やプリミティブな造形とも共鳴するみずみずしい生気を放ち、私たちに感動や喜びをもたらしてくれます。当館が所蔵する柚木の染色作品は、創設者・柳宗悦(やなぎむねよし)(1889-1961)が収めた型染や注染(ちゅうせん)をはじめ、作者寄贈の代表作約40点などで、型染ポスターを併せると140点を超える国内屈指のコレクションを形成しています。生誕100年を記念する本展では、初作品から近作に至るその染色コレクションを展示すると共に、館収蔵の古作と併陳する新しい試みもおこないます。時代、産地、手法の異なる作物とのコラボレーションをご高覧ください。