田辺市立美術館が1996(平成8)年11月に開館してから25周年になることを記念して、今年度は近代美術を主に、当館の収蔵品の特徴的な4つの分野を紹介するコレクション展を開催しています。洋画と織の作品を取り上げた第Ⅰ部と第Ⅱ部は、昨年4月から6月にかけて行いました。今年2月から3月にかけては、第Ⅲ部、第Ⅳ部として、日本画と水彩画の作品を特集します。
第Ⅲ部は、明治期以降に本格的に流入してきた西洋の絵画(洋画)に対置するものとして再編された「日本画」の作品を、従来の表現から脱却させて同時代の芸術へと革新してきた画家たちの制作に注目して展観します。当館は、大正期の日本画を刷新した「国画創作協会」の活動を先導した画家たちや、戦後に新しい時代の日本画を追求した「創作美術」の運動に参画した画家たちの優れた作品をコレクションしています。
第Ⅳ部では、日本近代の絵画表現の特徴的な分野として、開館当初から収集に力を注いできた水彩画のコレクションを一堂に展示します。明治期に隆盛した透明水彩絵具による写実的な風景の表現、昭和期の不透明水彩絵具を用いた近代的な造形感覚による作品、現代の抽象的な表現の作品など、近代から現代にかけての水彩画の展開を一望し、その多彩な表現の魅力をお伝えします。