20世紀ほど、「世紀」という単位を私たちに意識させる時代はないかもしれません。短く要約することが不可能に感じられるほど多事であった、1901年から2000年までの100年間には、2度の世界大戦があり、政治も大きく動きました。経済的には国際競争が激しくなり、国境を越える規模の恐慌により、日本も大きな影響を受けました。
生活のレベルでも、19世紀の産業革命でなされた多くの発明が普及、あるいは発展し、それ以前のどの時代よりも多くの変化がかつてない速さで起こりました。それらの変化は同時代の美術にも反映されています。当館が研究・収集の対象としている近代美術・現代美術作品が生み出されたのは、このような時代でした。
その時代のさなかにあってはわかりにくい、難しいと感じられたこともまた20世紀美術の楽しみとなるように、作品に反映された100年の歴史、新しい素材や新しい技術が表現にもたらした変化、教育による美術の普及などのなかから、いくつかの視点を提案します。
21世紀のはじまりに生まれた人も、20歳を越え、新しい世紀のはじめから少し時間を経たいま、美術作品を20世紀の人々が残してくれたおみやげとして見直してみましょう。