長沢節(1917-1999)は、独特のスタイル画で一世を風靡し、戦後の日本ファッション界に多大な功績を残したイラストレーターです。水彩画家として画壇でも活躍。〈池袋モンパルナス〉を彩った芸術家の一人でもありました。そして美術学校〈セツ・モードセミナー〉を主宰し、日本を代表するデザイナーやイラストレーターを世に送り出したことでも知られています。
長沢節の活動は画業だけにとどまりません。自由と孤独を受け入れた大人の生き方を説いたエッセイや、好みの俳優の造形をひたすら論じる一風変わった映画評など、ユニークな発想と明快な筆さばきで文筆家としても活躍しました。
また、その生き方でも注目を集めました。カラフルなファッションを身に纏い、シングルライフの達人。権威主義には体をはって抵抗する反骨の人。長沢節は、年齢や、性別や、固定観念にとらわれず、自由にカッコよく生きることを教えてくれた人でもありました。
初の回顧展である本展では、デッサン、ファッション画、タブロー(水彩画)に加え、エッセイ、映画評論、身の回りの品々など、約300点を展示。生涯現役を貫いた長沢節の60年に及ぶ仕事をご紹介し、多彩なその活動に一貫する〈セツ美学〉に迫ります。
また、セツ・モードセミナー創設50周年を記念し、各界の第一線で活躍する卒業生たちが一挙集結。セツ先生とセツ・モードセミナーについて語ります。